2006年11月25日

OUT

<2006年3月22日読了>

今となっては大好きな作家―桐野夏生―の作品で最初に読んだ作品です。

桐野夏生
『OUT』を読みました。これは、この前に読んだ『パーフェクト・プラン』の解説に、もはや女流作家と区別することなく、米国ミステリー界のアカデミー賞といわれるアメリカ探偵作家クラブ主催の2004年エドガー賞最優秀作品賞候補五作品の一つにノミネートされ、日本人作家が同賞にノミネートされた初の小説となった、とあったため、手にした本です。

女性の主人公はあまり得意ではなく、女性の作家の作品はあまり読まないのですが(とはいえ、ベストの本には『風と共に去りぬ』『赤毛のアン』を挙げてます)、読んだことがなかった作家だったので、読んでみました。

出版社/著者からの内容紹介
ごく普通の主婦であった彼女たちがなぜ仲間の夫の死体をバラバラにしたのか!?

深夜の弁当工場で働く主婦たちは。それぞれの胸の内に得体の知れない不安と失望を抱えていた。
「こんな暮らしから抜け出したい」そう心中で叫ぶ彼女たちの生活を外へ導いたのは、思いもよらぬ事件だった。なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?犯罪小説の到達点!

内容(「BOOK」データベースより)
深夜の弁当工場で働く主婦たちは、それぞれの胸の内に得体の知れない不安と失望を抱えていた。「こんな暮らしから脱け出したい」そう心中で叫ぶ彼女たちの生活を外へと導いたのは、思いもよらぬ事件だった。なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?犯罪小説の到達点。 ’98年日本推理作家協会賞受賞。



まず、大体自分で感想を書くときには「何を得たか」を書くのですが、読後に何を得たというものが沸いてきません。それは、最後のシーンに全く共感できなかったからで、作品に入っていけなかったからです。別に駄作というのではなく、そこまで描いていた人物像と自分は結びつかなかったからで、巷では大絶賛なので、単に自分に合わなかった、ということにします。

最後は別として、なかなか面白い作品でした。まず、登場人物の描写が長けている。結構多くの人が出てきますが、その風貌、性格が頭に容易に思い描けます。中でも、中心となる4人の主婦たちの対比は抜群で、物語を盛り立てます。

出世を諦めた夫と口をきかない高校生と家庭内別居している長身痩躯でぶっきらぼうな雅子、寝たきりの姑を抱え家出した長女と貧乏を理解しない次女を抱える50過ぎのヨシエ(師匠)、2男を育て二流企業に勤める飲み屋の中国娘とギャンブルにはまる夫を抱える美貌を持つ世間知らずの弥生、センター街で見つけた男の内縁の妻でブランド好き見栄っ張りの4人の中では一番若いが太って不細工かつ性格の悪い邦子。

これに加え多様な人物が絡み合います。過去に女を異様な方法で殺し、中国人パブとギャンブル店を経営する男、その男に見出されて歌舞伎町ナンバーワンになった中国娘、日系ブラジル人で主婦たちと同じ弁当工場で働く若い男、小規模な消費者金融を営む男。

この作品で自分にとって新鮮だったのは、小説が一人の視点ではなく、それぞれの登場人物の視点に順次切り替わって、まるで自分がそれぞれの登場人物の心境を覗くような感じを持って楽しめます。これは次へ次へと本を繰りたくなる心境に駆り立てる。それぞれが相手に不審を募らせて行く様が手に取るように分かり、最初に書いた最後の展開がなければなあと、それ以外は実に面白かった。

エンターテインメント性では、かなりの高得点をあげたいと思わせてくれた作品です。いや、ほんと、最後の最後の展開までは、ハラハラドキドキしながら、一気に読めてしまうのですが、最後も良かった!という方(人気作なので、たくさんいるんでしょうね)、私に解説してくれるでしょうか?

(この後、桐野作品にドップリとつかるとは、自分自身気がつかなかったのです・・・)

この本に興味を持った人は↓をClick!!


ラベル:桐野夏生
posted by seven at 13:39| ニューヨーク ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 桐野夏生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この作品が桐野作品の第一弾だったのですね。

今、読んでいる途中ですが、ネタばれてもいい!とにかくsevenさんがどんな感想をもったんだろう?という気持ちで、ここにきてしまいました。

頭の中で映像化しながら読むのですが(これがまたきつい、笑)、4人の中でひとりだけ、まだどうしてもイメージがつかめないのです。

まだ上巻。こわいけど、結末が気になります。
Posted by ゆぴ at 2006年11月29日 22:22
今週は完全にネット社会から隔絶状態だったので、
きちんとフォローしていないままですが。

ネタバレはしてないでしょ?この4人の視点からの
進行は圧巻ですよね。嫌な人は嫌に書いているし、
桐野さんの筆致に感動。

で、最後がまた・・・
Posted by seven at 2006年12月02日 13:25
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