2006年11月25日

リアルワールド

<2006年6月24日読了>

桐野夏生『リアルワールド』

   

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山中十四子、通称トシ。クールなテラウチと、エキセントリックなユウザン、育ちのよいキラリンという3人の友人とともに、残り少なくなった高校生活を送っている。夏休みのある日、隣家の同い年の少年が母親を撲殺した。彼がトシの携帯電話と自転車を盗んで逃亡したことから、4人の女子高生は事件に巻き込まれてしまう。警察や大人たちに真実を話せず、個々に抱える悩みを逃亡少年に照らす彼女たち。「ヒトから見られる自分」と「本当の自分」のはざまで揺れ動く思春期の心が、章ごとに語り部を変えるスタイルでつづられている。

桐野作品は、リアルな女性描写に定評がある。探偵「村野ミロ」しかり、『OUT』の主婦連しかり。そこには世の男性陣の幻想であろう「優しく弱い」姿はなく、図太くしたたかに生きる女性像が描かれている。本書もまた女性の描写がおもしろい。といっても、従来作品にある「大人の女」とは異なり、ここに登場するのは女子高校生4人組である。大人のように1人で歩むことはできず、子どものように無邪気になれるわけでもない彼女たち。油断すると足元をすくわれそうな世知辛い世の中から、懸命に自分を守りながら生きている。ある者は目立たぬようにと細心の注意を払い、ある者はバカなふりをして。これが「イマドキの女子高生」の真の姿なのかもしれない。(冷水修子)

出版社/著者からの内容紹介
4人の女子高生、ホリニンナ、ユウザン、テラウチ、キラリン。ホリニンナの隣家の高校生ミミズが母親を殺して逃亡した! 4人はミミズの逃亡を手助けすることに。現代の高校生の心の闇を描く、力作長編。



まず第一に、これを読み始めた時に起きた奈良の事件との相違にびっくり!医者の長男が親を殺害して逃亡というもので、設定はまるで一緒でした。

桐野夏生作品は3作目。『OUT』『柔らかな頬』を読んでグッチャグチャ作家と命名しましたが、江國香織「神様のボート」を読んでリアルなグッチャグチャ感を感じたかったのが理由です。ただし、思ったほどのグッチャグチャではなく、スピード感溢れる消失の世界へ誘われるという作品でした。

小説の設定が非常に面白い。上記あらすじにあるように、4人の仲良し女子高生と母親殺しのミミズのやり取りで構成されていますが、この人の女性の描き方は本当に上手い。その性格が手に取るように分かる書きぶり。ホリニンナ、ユウザン、キラリン、テラウチというあだ名4人とホリニンナ(通常のあだ名トシ)がつけたミミズというあだ名をもった少年一人ずつから見た物語が展開していきます。

私には遥か遠い世界になってしまった高校生活であって、さらに女子高生、分かるはずはないけども、こういう感じ方をしながら生きているんだろうなあと実感できます。子供なのに妙に大人っぽい考えを持ったり、高校生だからこそできる感じ方だったり。50歳を超えた桐野さんがそれを書いているということに驚きを覚えますがw

グッチャグチャ度はさほどでもないけど、破壊に向かっていく、絶望に向かって走り続けていくような焦燥感が味わえます。勝手にまとめると、桐野さんは既成のものを壊していくデストロイヤーですね。グッチャグチャ作家改めデストロイヤー

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ラベル:桐野夏生
posted by seven at 14:07| ニューヨーク ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 桐野夏生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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