桐野夏生「ダーク」


出版社/著者からの内容紹介
40歳になったら死のうと思っている。
お前に何が起きた。
お前は何をしに来た。
120万読者を待たせていた、壮大なるミロの物語
MIRO’s EXPERIENCE 最新作!
40歳になったら死のうと思っている。
型に流し込まれたばかりのコンクリートが次第に固まるように、私の決意も日に日に水分や気泡が抜け、硬化していく。死ぬと決めてからの私は、気持ちが楽になった。
これぞ桐野夏生の真骨頂!とでもいうべき作品でした。せっかくなので、ミロ・シリーズのおさらいを。
ミロ・シリーズはデビュー作「顔に降りかかる雨」
次作の「天使に見捨てられた夜」
村善が探偵になる前の週刊誌のトップ屋だったサイド・ストーリーが「水の眠り 灰の夢」
短編集の「ローズガーデン」
そして今回の「ダーク」
せっかく築き上げてきたキャラクターたちを「ダーク」
村善の恋人の久恵と除という韓国人が登場するのですが、彼らの過去を丁寧に書いてあるので、ストーリーへの深みが与えられていきます。特に除が光州事件で死に掛けた物語は凄みをも与えています。
キャラが壊されていくことに戸惑いながらも、ミロという女性の強さに感嘆しました。彼女はどこまでも強く何にも流されない。死のうと思っていたのに、どこまでも生への執着が凄い。次作へとつながる終わり方のため、また新作が出たら読んでみたい一品でした。
参考までに桐野さん公式HPより抜粋です。
※以下、ネタバレ注意!
作者のコメント
講談社の「in-pocket」という月刊誌に2年半連載した後、最終章だけ「小説現代」に書き下ろしました。つまり、3年半の長きにわたった連載になってしまった訳です。勿論、ミロシリーズの続きとして書いたのですが、連載の開始に当たってひとつだけやめようと思ったことがありました。新たな事件が起きて探偵のミロが解決し、成長していく、という探偵小説としてのパターンでした。それよりは、村野ミロという一人の女の同時代進行の物語にしようと思ったのです。どこへ行くかわからないミロの生き方を淡々と書いていき、読者の方がミロに反発したり、面白がったり、見守ってくれたらいいな、と思ったのです。というのも、書いている私自身が変化するので、ミロがこれまでと同じ女でいるはずはないと思ったからです。
結果、ミロは成瀬の死を知って狂乱し、義父の善三の死に関わり、金を盗んで韓国に逃げ、そこで出会った徐鎮浩と暮らし始めることになりました。殺人、覚醒剤、レイプ、出産、逃亡。思ってもいなかったダークな展開に、私でさえも驚くばかりです。物語が勝手にダークになっていくのは、過去、私がミロを捨て去ろうとしたことがあるので、ミロが作者に歯向かっているのかもしれません。面白い経験でした。
シリーズの次作は、ハルオを生んだミロが沖縄の地でサバイバルしていく物語になるでしょう。ミロに何が起きるのか、新たな出会いはあるのか。そしてレイプの結果生まれたハルオとの関係は。大阪刑務所に収監された徐はもう一度ミロと会えるのか。我ながら先の読めない展開に驚いております。ご期待ください。
(インタビュー・構成 ミッシー鈴木)
もはやミステリーでも探偵物でもなくなったミロ・シリーズはどこに向かっていくのでしょうか。作者でさえ分からない展開ですが、やはり崩壊へと向かうのか・・・
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