桐野夏生「ファイアボール・ブルース2」

内容(「BOOK」データベースより)
女子プロレス界きっての強者・火渡抄子。人は彼女を「ファイアボール」と呼ぶ。火渡に憧れ入門し、付き人になった近田。仲の良かった同期・与謝野の活躍を前に、自分の限界が頭をかすめる。そんな折、火渡が付き人を替えると言い出した。近田は、自分にどうケジメをつけるのか。女の荒ぶる魂を描いたシリーズ完結篇となる連作短篇集。
これは女子プロレス小説ではありません。火渡という魅力的な主人公を仕立て上げ、その付き人という近田という人物を得た桐野氏が続編として作った短編集です。
近田は弱い。とっても。そして、火渡さんが寡黙で強く、美しいという像を作ってしまった反面、弱い近田が人間臭くただよってきます。
そんな近田の煩悶を書いているこの短編集は、人間臭さ、つまりリアルを書く桐野さんの真骨頂なのでしょう。ヒーローは出てきません。敢えていえば、火渡がヒロインなんでしょうが(ヒーローという風に言った方がしっくりくる)、この頃から桐野さんは人間の内面にスポットを当てて小説を書いているんだろうという気がする作品です。
一度確立した人間を貶めていくというか、堕落させていく。嫌な事を経験させ、そして小説の中で不貞腐せるという手法をとって、近田という登場人物がリアルさを帯びていきます。
人間弱いんだよな・・・なんて思いながらも、どこかハッピーエンドのストーリーだと胡散臭く思ってしまう自分には、桐野さんの描く物語が、妙にしっくりときてしまうなあと納得。
ドロドロじゃありませんので、桐野さんのグッチャグチャ入門篇として、この2作品はお勧めです。もちろんミロ・シリーズもお勧めなんですが、相性がいいなと思った方は是非!
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